ISBN:4101249156 文庫 柳田 邦男 新潮社 1999/03 ¥660

今読んでいる本。
電車の中で思わず泣いた。
とは言え「エグエグ」という状態ではないですが。

それ位に下手な小説作品よりいいと思う。
考えさせられる部分も多い。
でも、それを読んでいる隣では、若いニーチャンがバカ騒ぎをしている。
その状況に頭が痛くなって、デパスを飲むに至る。

こんな話が書かれていたので、かいつまんで引用する。

東海女子大学文学部・歴史人類学研究者の天沼香教授の「『頑張り』の構造」と言う本の中で、天沼教授は「日本人はなぜ『頑張る』のか」と言う点に絞りこみ、歴史的、文化論的な視点からの分析によって「頑張り」の精神を日本人のコア・パーソナリティー(国民性の中核をなす特性)の一つとして位置づけている。そして、日本の近現代史においてこの言葉が果たした役割を重視し、「頑張り」の精神は明治維新以降の日本の急速な近代化を推進する力となった反面、いつしか「頑張れば何とかなる」という幻想を醸成し、日本人を無謀な大東亜戦争に駆り立て、特攻作戦までも生み出したと指摘している。


非常に面白いと思ったので、引用してみた(いくらかの省略あり)。
私はかねて、「頑張る」という言葉が嫌いで、「頑張る」という言葉に対しての「良さ」を余り感じていない。いや、『良さ』は多分幾分かはあろうけれども、「悪さ」もそこには存在することを知っているからだ。
「頑張る」って、何を?
「頑張る」って、どこまで?
「頑張る」って、どうして?
「頑張る」って、何を目的に?
「頑張る」って、どんな状態?
「がんばる」という言葉を考えるにつけ、どこまで行ってもその先には到着できないような恐ろしさを感じる。いわば「無間地獄」(ちなみにこの「無“間”」は正しい表記)。「頑張る」ためには苦労を避けて通れないが、その「苦労」という地獄は無限に続いている。だからこそ、「頑張る」という言葉を安易に使うことを自分はしていない。

だけど、それ以上にこの言葉を深く考えている人がいることに感動をし、そしてこの柳田邦夫氏の見る目の広さに感動し、この本を読んでいる。

久しぶりにヒットの作品だ。

そして、改めて言わせてもらう。
頑張るな
・・・と。

コメント

最新のコメント

日記内を検索