父帰る

昨日、自分は病院で『死んで見送られる』人を見た。
それが、今日、自分の身内に起こるとは。

うちの父親は、今日の朝、6時57分に亡くなった。

正直、電話をもらった時には、もう心臓も呼吸もしていなかったそうで、これで自分は母親に次いで、父親までも、死に目にあえなかったことになる。
電話をもらったのが6時半ごろ。
着いたのが6時50分ごろ。
自分の到着を持って、死の宣告でした。
病院の話では、
「どうやら痰を喉に詰まらせて、呼吸が出来なくなっての呼吸不全だと思います」
とのこと。病院は、そういう所も気をつけて看護しているのかと思ったら、そうではないらしい。
もっとも、朝が早く、看護士の人間も少ない時間帯だろうし、それはあんまり期待できないというのもあるが・・・。
ともかく、脳硬膜下血腫なんて病気に罹った割りには、最後があっけない。彼はタバコを吸うし、それがこうして「痰」を詰まらせての死亡という結果になったのだとすると、確かに合点がいくし、それは彼らしいのだ、と思う。

家に帰ってきて、彼が寝ていた部屋の掃除をして、運び入れて、線香をあげる。
やはり、なんだか「ビックリした」という気持ちの方が強く、「寂しい」とか「辛い」とは微塵も感じない。
それくらいの「あっけない」という部分なのだ。
しかしながら、姉にはなかなか連絡がつかず、本当に自分一人で動いているし、だからこそ、あんまりにも「やること」が沢山あって、それゆえに「ビックリして」何も感じないのかもしれない。

ともかく、葬儀屋を呼んで、色々と手配を進めている最中です。
こういう形で、かの人の家に行く時期が早まるとは。本当に人生って分からない。
ただ・・・。
ちょっと思うのは、
1：かの人が来たとき、その病院の前を通った。
2：再三再四、一緒にいては結婚できないな、と言っていた。
3：いい加減、苦労を知っていた。
というようなことから、彼なりの「早く結婚でも何でもしろ、自分が邪魔なら消える」というようなメッセージのような気がしてならない。
無論、死人に口なしだし、それが本当かどうかは、分からないというよりも、そうであるはずがない。
でも、自分はそう信じることでしか、自分を肯定できないような気がする。
病院に入院しても、あんまり見舞いにも行かなかったし、それもあるけど最後の頃は本当に迷惑を感じてぞんざいに扱ってたのも事実だ。
だから、自分に言い訳をついているのだと思う。

ともかく。
自分は看病や介護からは解放された。
でも、この不満足感・不充実感は何だろう？。
介護でも、もっと早く痴呆に気がついて、色々と病院にあたったり、入院とかはしないで、老人保健施設に入ったり、色々と方法はあったろうし、そうすれば変わったかもしれない。
勿論変わらなかったかもしれないけれど、そうなったら自分ももうちょっとはこの『不満足感・不充実感』には苛まれずに済んだかもしれない。
だからこそ。
介護保険とかの現在の状況は私は信用が置けない『エセ』行政って思う。
たらい回しが実際にあり、それ故に頭の出血に至り、というのは医者ではない素人の「思い込み」かもしれないが、だとしたら、早めに介護を使えない今の状況は、やはり問題だ。

正直、今はボーっとしている。
何も考えたくない。でも、喪主として動かないといけない部分が沢山ある。
30日の明日は、納棺をするし、明後日は火葬から密葬で、それでもう彼とはお別れになる。
選挙のご挨拶も待っている。
家庭教師も待っている。
広報誌の仕事も待っている。
山積みになった課題を目の前に、自分は逃げたい気分になっているのだった。

update 29th 21:10

心細い。一人で留守番なので、心細いったらありゃしない。
うちの姉には連絡がついた。・・・が。
「戻る気はないから」
との一点張り。
どうやら、前回帰ってきたときの、
「男の家に行って来るから」
に対しての、こっちの
「戻ってくんな！」
をむかついている様子。
でも。
自分だって、やりたいことをしないで我慢している。それを分かって頂けない。
「それはそっちの都合でしょ」
などと、分かったような口をきくので、余計に腹が立つ。
「じゃそっちだってそっちの都合だろ」
というと、言葉を濁す。
だいたい・・・。
女の人で若い人の多くが、「しかられる」ことになれていない。
だから、こうしたことをいうと、すぐ根に持つ。
帰ってこないならそれはそれでいいけど、あとで色々といわれても知らないふりをします・・・。
面倒なやつだ。

ともかく、それはさておき。
心細い。何人かは来てはくれたけど、さすがに夜は帰ってしまう。自分一人で、この重たい空気から、どう立ち向かっていいのか、よく分からない。
正直、今何をしたいのかも分からない。

なお。
密葬の形なので、ここを見て家にいろいろと連絡をするような人がいるかもしれないけど、連絡くらいならいいですが、お心づけなどは頂けません。
お気持ちはありがたいですが、身近の人間でひっそりとやりたいのが自分流なので、そっとしておいてください。
何人か、現にここの日記を見に来ているようですが。

本当は、今日から3日連続で家庭教師だったのだけど、それもキャンセル。
明日からやれるのか、明後日からにするのか、全然決まってません。
今週1回もできないとなると、来月、また家庭教師がパンパンに入ってしまうので、本当は避けたいんだけど・・・。
とにかく・・・。
今は、心細いだけです。
やはり、かの人の声が聞きたい。抱きしめて欲しい、と思って止みません。